oons0531のブログ

タバコ一本あればいい。

映画レビュー :「帰ってきたヒトラー」

こんばんは皆さん。

昨日の話とは打って変わって今日は映画の話です。レビューって他の人の純粋な感想って感じで見てて楽しいよなぁって事で好きな映画だったり好きなアニメを紹介しつつ記事を重ねていこうと思う。何せ多くの娯楽を知っている人間に女の子はハマりやすいらしいからね。聞いた話だけれども。

 

帰ってきたヒトラー

世の中には多くのナチスを描いた映画があるけれどその中でもとびきり僕の好きな作品。というかこれと「ヒトラー 〜最期の12日間〜」くらいしか観てないけど。でも良いんだよこの映画。正直この二作は知ってるって人多いんじゃないかな、特に後者は。ニコニコMADなんかで総統閣下シリーズってタグでネタになってるし。ちなみに「帰ってきたヒトラー」はドイツで出版されベストセラーになった小説の実写化なんだそうな。あと原作と映画ではストーリーの終わり方がやや違う。けど僕は映画版のラストの方が好きかな。理由は後述。

 

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楽しみは自分で味わってこそ楽しいよね、だからネタバレはある程度避けるよ、というわけで大雑把なあらすじ。

 

1945年に自殺したヒトラーは自殺直前の記憶を失って現代のドイツ、ベルリンの空き地にて復活する。もちろん中身と記憶は1945年のまま。自分が2011年にいると分かったヒトラーは偶然にもTV番組製作会社のザヴァツキにコメディアンとしてスカウトされる。トーク番組に出演するとその動画がYoutubeにアップされドイツ一有名なコメディアンになる。ザヴァツキと各地を回る中に聞いた政治的な不満をナチ党黎明期の状況に重ね合わせ、ナチス復活に向けて新・親衛隊を組織して再出発するところで物語は終わる。

 

うん、まぁざっとこんな感じかな。ネタバレなしだと薄い文章になるよね。星野源とかすごいよね。あの人のエッセイ大好きなんですよ僕。嫉妬に狂うわ。

 

話を戻すと、この映画が原作と異なるストーリーなのには理由があるわけ。ここからめっちゃ硬い話になるけど、これ知ってるともっと面白くなるからすこーし我慢してくれよな。

 

公開当時の2015年のドイツでは難民問題が浮上していた。当時のメルケル首相が中東やアフリカ大陸からの移民を積極的に受け入れており、たった2年ほどでその数およそ100万人を超えた。これに国民は猛反発し選挙では排外的な政党が下院に議席を獲得する大波乱になった。ドイツに限らず、欧州の国々は移民政策に対して好意的ではない。また特にドイツに関して言えば、この問題はもっと根深い。東ドイツは今からほんの28年前に移民によって政府が崩壊している(ベルリンの壁崩壊ね)のだから移民に対する姿勢は人道精神第一!といったものだけじゃないのは分かる。とはいえ、学生も含めたボランティアが最も活発になった時期でもあるのだから話はより複雑になる。

 

という前置きを踏まえて映画の話に戻ろう。この映画の監督は原作になかったカットを挿入した。ザヴァツキとヒトラーが各地を回るシーンだ。この映画で描かれているドイツ国民はエキストラではない本物の国民だ。ドイツ市街にヒトラーを見つけて自撮りをするのも、ヒトラーに政治的不安を煽られているのも現代のドイツ国民なのだ。冷静に考えてヤバい。こうして限りなくリアルなヒトラーを演じた当時無名な舞台俳優だったオリヴァー・マスッチだが、彼は「現代社会の中にヒトラーのような指導者が現れた時、右派になびいてしまうような隙がまだ人々に残っているのか」という興味のもと主演を引き受けたという。事実この映画は壮大な実験に見え、映画版のラストは観た人の脳裏に直接赤信号を点滅させる。ヤベェじゃん!ってなる。ドイツ人のみならず、日本人にとっても他人事には思えない映画だ。というか、平和ボケしている日本人には全員に見せたい素晴らしい映画である。

 

と、ここまでダラダラと本編とその前置きについて書いてきたものの、僕がこの映画を推す理由は単純明快だ。一行でいい。

 

 

 

 

笑ってはいけないナチスドイツ105分

 

 

 

 

 

「お前これ観て笑ったな?はいアウトー!デデーン!〇〇タイキックー!」てな具合である。ザヴァツキは事態のヤバさ、というか世界のヤバさにすんでのところで気づいた。が手遅れ、辿った結末は方正ビンタに近いものがある。観る側、ヒトラー以外の出演者全てがプレイヤー視点の立場に近い。そもそも「ナチス」というテーマVS我々の構図なのだ。

僕がここまで「笑ってはいけない」理由を説明してきたのはこれを総統閣下シリーズの長編版として消費して欲しくないからなのだ。いや、まぁ本編でもイジってるんだけどさ。ほんの少しだけ自分の周りに反射させて照らしてみてほしい。ガキ使ならケツしばかれて終わりだが現実はそうではない。なあなあにして笑っていた先には笑えない未来が待っている。笑い事にしてはいけないこともあるのだ。

 

 

 

 

 

ところで、レビューって感じじゃなくなったね。まぁいっか。ケツしばいていいから許して。