oons0531のブログ

タバコ一本あればいい。

読書の話

こんばんは。

外はもう肌寒いですがギリ秋って感じですね。この前釣りに行った時には本栖湖のあたりの紅葉の綺麗さにびっくりしました。いい季節です。

 

さて、秋といえば皆さんは何の秋になるのでしょうか。僕は断然食欲の秋ですが、このままだと冬眠前の熊みたいな体格になること間違いないのでやや控えたいところです。

 

次点で読書の秋。今日は「読書」をテーマにしようと思って書いています。

 

昔から本というものとは身近に接してきました。幼い頃には母親の読み聞かせてくれる絵本。ゲームや携帯はなかなか買ってもらえなかったけれども本だけはねだれば買ってくれるという母親の方針もあってか、実家の本棚は、特に絵本は溜まりに溜まってちょっとした児童書コーナーのようになっていました。

やがて時が経ち、小学生の頃の僕は「ハリーポッター」シリーズにどハマりします。当時まだ3作目の「アズカバンの囚人」が出たばかりの頃。金曜ロードショーでの放映からハリポタ沼に足をすくわれた僕はその年のクリスマスに「賢者の石」をねだります。翌朝枕元にあった分厚い本に目を輝かせ、その日1日中読みふけっていたのを覚えています。皆さんご存知の通りハリーポッターシリーズは単行本だったため小学生の僕には高級品でした。おいそれと次の作品を買って読める値段ではなく、同じ作品をひたすら読み返しては世界観に浸っていました。

やがてシリーズは完結し、中学生になった僕は僅かながらお小遣いを手にするようになります。今でも変わりませんが、その頃から浪費癖があり、近所の古本屋まで自転車を走らせては定価よりも安く売られている好きなライトノベルのシリーズを買い集め読み耽りました。同じ巻を何周も何周も読み、お小遣いをもらっては本につぎ込むというのが中学生の頃の僕の楽しみでした。

ちょうどその頃にゲームをする時間も増え始め、友達と遊ぶことも増え、やや読書からは遠ざかりつつ高校生になります。

高校生というのは部活や日々の課題、友達との遊びなどでなんだかんだ忙しく、まとまった時間はなかなか取れないものです。それでも現代文の教科書は他の教科のものと比べても少し特別で、授業中に別の単元でやる作品を読んでいたりと読書の癖は抜けていなかったのです。

 

高校3年生の冬、センター試験を間近に控えた僕は、放課後にクラスの友達とセンターの過去問を解いていました。当時の僕たちのルールは、同時に解き始めて答え合わせをし、点数で負けた方が自販機のジュースを奢るというものでした。その日も同じように解いていたのですが、2012年追試分の現代文を解きつつ手が止まります。三浦哲郎の「メリー・ゴー・ラウンド」です。センター史上最難と言われた問題ですが、そんなことは知らずに問題文を読み始め、本の虫の血が騒いだのです。

なんだこの文章は。面白すぎる。センターなんかでやっていいものじゃない、もっと楽しんで読みたい。そう思いつつ自分の没入感のままに解き進めて答えあわせに向かいます。結果は散々なものでした。普段から現代文で40点を切らなかった僕を赤点まで貶めたのです。しかし僕にとってはそんなことよりもこの文章への感動を抑えられません。そのあとは受験勉強そっちのけで友達に自分の考えを話し、友達から返ってくる違う意見に首をひねりながらも解釈について考えていたのです。

 

やがて大学生になり、少し前の話。国文学科に入学した僕はまた本に近づいていきます。娯楽の少ない辺鄙な土地ゆえか、本屋で目に付いた本を買っては帰り、読み続けて夜を明かすこともありました。ある時ふと、あの「メリー・ゴー・ラウンド」をもう一度読みたいと思い立ったのです。しかしどの本屋を探しても見つからない。そこで調べてみるとなんと絶版になっていたのです。中古でも五千円を超える貴重な本になっていました。「木馬の騎手」という本でした。

読みたい、どうしても読みたい。いや、読もう。

Amazonで2日後に届いたその本は、かつて自分がクリスマスにねだったハリーポッターのように輝いて見えました。新品だった「賢者の石」とは違い、年季の入ったいかにも中古の本ではあるけれども、手にとって読み進めるうちに駆け巡る感動はあの時のものと変わらず、先に進むのが惜しいほどでした。読み終わって本棚に戻す時、あぁ、やっぱり本が好きなんだなぁと再確認しました。

 

そして今、扶養の都合で休ませてもらったアルバイトの時間がすっぽり抜けたこの時間に遠藤周作の「海と毒薬」を読み、眠れなくなってこれを書いているのです。おそらく僕は小学生の頃から何も変わらず本の虫のままなのです。他の娯楽や趣味が増えようが変わらず好きなこと、それが読書なのです。幸せだなあと心から思います。

 

 

ところで僕にはずっと前から癖のようなものがあります。それは、「買った新品の本には必ず全てブックカバーをつけて保管し、読むときはそれらを全て外して丸裸で読み、読み終わった時にはブックカバーを外して本棚に並べる」というものです。僕の本棚にはまだブックカバーをかけたままの文庫本が10冊ほど眠っています。

 

僕の読書の秋はまだもうしばらく続きそうです。